2020.05.25
銀行との交渉ツールとして「金融機関の対応事例(金融庁)」の活用を!
5月22日、金融庁のホームページにおいて、
「新型コロナウイルス感染症を踏まえた金融機関の対応事例」が更新されました。
https://www.fsa.go.jp/news/r1/ginkou/20200522/01.pdf
現場の銀行員も、出社制限がかかった中で仕事をされていますので、
普段より入手できる情報も限られているかもしれません。
こういった事例を銀行担当者と共有しながら、
今後の資金繰りのご相談をしてみていただければと思います。
以下、参考になる事例です。
ビルオーナー向け
○ テナントの家賃支払いを1年間減免しているビル所有者への融資について、同期間の元金据置・期限延長を実施
○ 事業者のテナント料負担が軽減されるよう、テナントビル所有者への融資について、1年間の元金据置を実施
→こういった事例はありますが、これを盾にしてビルオーナーに対して
「あなたが銀行返済を待ってもらえれば、私も家賃を払わなくて済むでしょ」といった交渉をするのはお勧めしません。
こういった取り組みがされていることを知りながらも、まずはテナントとしての最大限の努力も必要かと思います。
国の持続化給付金や自治体の給付金をフル活用し、公庫や民間金融機関の無利子無担保融資を活用して、
それでも厳しいので大家さんにお願いにあがるのでしたら結構ですが、これら努力を何もせずにいきなり大家さんに
駆け込んでも、大家さん側もなかなか受け入れにくいはずです。
リスケ対応
○ 条件変更について柔軟に対応することとし、必要な事業計画等の書類については、業況が落ち着いてから後々でよいとの取扱いとする
○ 事業者からの条件変更等の相談があった場合には、審査を行うことなく、まずは、3ヶ月の元金据置ないし期限延長を実施
○ 事業者からの条件変更等の申請について、営業店から本部への報告・ 資料作成を省略・簡素化
→「これ以上の資金調達はできない、返済を止めるしかない」と決断されたのでしたら、
即銀行担当者に「今後の返済についてご相談させてください」と申し出てください。
「資料が準備出来たら申し出よう」と思っている間に資金が流出してしまいます。
一刻も早く申し出て、一刻も早く返済を止めていただくことです。
銀行は今日申し込まれて、明日の返済を止めるということはできません。
社長の住宅ローンのリスケ対応
○ 住宅ローンに係る返済猶予等の相談について、審査を行わずに最長1 年間の元金据置等を実施
○ 住宅ローンの返済猶予の求めに対して、まず6ヶ月間、元金を据え置 き、6ヶ月後にその時点の状況を踏まえ対応を再検討する(条件変更手数料も無料)
→社員の手前、役員報酬を減額しなければ示しがつかない、でも決断できない理由の一つが
社長のご自宅の住宅ローンの返済があるからというケースがあります。
意外と忘れられがちなのが住宅ローンのリスケジュールです。
住宅ローンについては当然不動産の担保が入っていますし、保証会社の保証がついているケースが多いため、
銀行も比較的柔軟に応じてくださいます。
連携
○ 市町村と協議の上、金融機関が事業者の売上高の減少を確認・書類に押印することを以って、市町村におけるセーフティネット保証の認定に十分とする取扱いを実施
○ 事業者がセーフティネット保証や日本政策金融公庫の融資を受けられるよう、金融機関の担当者が市町村の窓口や公庫の融資窓口に同行するほか、申請書類の作成をサポート
○ 信用保証協会における手続き迅速化等のため、県内の金融機関が協力し、金融機関職員を二十名規模で保証協会に出向・派遣
→5月1日より民間金融機関のワンストップ手続きが開始されています。
「当社はどの制度を利用するのがベストなのか?」を悩む前に、まずは銀行担当者に相談していただければ、
彼らが考えてくださいますので、即電話してしまうのが一番早いかもしれません。